第三話 ちゅう心の会席料理とおまかせ鮨
私は物心つく前から鮨(註1)が好きでした。(また余談から入るスタイル)
まだ幼稚園に通う前、2~3歳の頃、家で祝い事があったとき、食卓に船盛や鮨が食卓に並ぶことがよくありました。
そういうとき、幼心にも、いかにもこれは御馳走だという感じがしてテンションが上がったものです。
幼児でしたので、当時は生魚をネタにした握り鮨はあまり食べた記憶がないのですが、沢庵巻きを好んでよく食べていた記憶があります。沢庵巻きというのは、御想像どおり、かっぱ巻きのきゅうりの部分が沢庵になっているものです。
かっぱ巻きの方が巻物としてはメジャーなのでしょうが、きゅうりがあまり好きではないこともあり、もっぱら沢庵巻きばかり食べていました。
以来、成長するにつれ、巻物以外の握り鮨も食べるようになり、今に至ります。
鮨が好き、というといかにもベタな感じで少々気恥づかしくもあるのですが、私だけでなく、日本人の多くは鮨が好きだろうと思います。日本食における代表的な御馳走ですし、なにより美味しいですもんね。
そういうわけで、鮨好きとしては、魚が美味しいことでお馴染みの大洗で鮨を食べないわけにはいきません。
初めて大洗で鮨を食べたのは二回目に訪問した時だったのですが、そのとき選んだお店が今回紹介するちゅう心さんでした。
なぜちゅう心さんを選んだのかというと、ガイド本や口コミでも評判が高かったこととが一番の理由だったと思いますが、店舗がガルパン本編に登場することやキャラパネル設置店(あひるさんチームの近藤妙子)という安心感(?)もあったかもしれません。
ちゅう心さんは老舗活魚店・魚忠さんの一角に併設されている鮮魚料理店で通りからは一見お店の入口が見えづらく、隠れ家的な雰囲気も醸し出しています。
場所は町の中心部、永町商店街に位置しており、立地も大変良いといえます。
魚忠さんの右脇の路地を進むとちゅう心さんの入口があります。
店の雰囲気もシックで落ち着いた趣で、まさに隠れ家的なお店だといえます。
とりあえず、ビールで乾杯です。(註2)
さて、この日、註文したのは会席料理の甲斐コース(2,750円)とおまかせ鮨(3,850円)です。
会席料理のコースは2,750円の甲斐コースから11,000円の歓コースまであり、鮨の附いたコースもあるのですが、鮨をメインに食べて、会席もちょっといただきたいという気分でしたので、一番品目の少ない甲斐コースと一番鮨の貫数の多いおまかせ鮨(10貫)を註文しました。
まづはホタルイカの酢味噌和えが登場。お酒に合うウレシイ一品ですね。
次に出てきたのはカツオを使ったペースト状のものをフランスパンの上に乗せたもの。
ペーストとパンがマッチしていて妙に美味しかった記憶があります。
このように、ちゅう心さんの会席料理は和洋折衷のコースになっています。
あんこうの供酢です。この日は四月の上旬ということもあり、あんこうの季節はすでに終わっていたのですが、嬉しい誤算でした。まだギリギリあんこうが食べられたのですね。
あんこうの供酢とは、大洗観光協会さんの解説によると、昔から水戸・大洗地方で酒の肴として食べられていたもので、湯引きしたアンコウの身や皮、肝などを肝と酢味噌を練り合わせたタレに付けて食べる料理。
最近では、「あんこう鍋」の人気に押されがちですが、地元民にとっては「供酢」の方が馴染みが深いのだそうです。
・・・実はこの供酢のあとに鮨が登場するのですが、構成上、鮨の紹介は後回しにいたします。
刺身が出てきました。まぐろとかんぱちですかね。
お次は、常陸牛です。
これをその場で焼いて・・・
ポン酢に附けて食べます。実に美味しい。
鯛のソテーです。流石、和洋折衷のちゅう心さん。見た目も味も素敵です。
ふぐの天ぷらです。正直、「まだ出てくるの?(笑)」と思ってしまいました。
一番安い会席コースなのに結構、品数があります。いま流行りの言葉を使えば「コスパがいい!」というところでしょうか。
最後に御飯と味噌汁と御新香です。
一番安いコースでこのボリューム。お腹一杯になりますね。(註3)
はい、会席だけでこれだけボリュームがあるのに、鮨(10貫)も頼んでいましたよね。
既に述べたように、実際はあんこうの供酢のあとに御登場されました。(なぜか鮨に対して敬語)
ということで、こちらがおまかせ鮨(10貫)です。
厚みのある楕円形のお皿の上に乗ったお鮨。見た目からして、お洒落ですよね。
ちゅう心さんのお鮨はいわゆる江戸前風で仕事の仕方はそれぞれですが、煮切りが塗ってあったり塩が振ってあったりしますので、醤油はつけずにそのままいただきます。
ヒラメ
赤貝
うに
まぐろ
・・・以上、すべてのネタの写真がなくてすみません。ともあれ、どれも、大変美味しくとても幸せな気持ちになりました。
ちゅう心さんの鮨はいわゆる地方前鮨に多いネタが分厚い豪快な鮨とは違って、一口でいただけるサイズになっていて、高級鮨店で出てくるような上品な佇まいであり、味も見た目通りの上品さと旨さに溢れていました。
そして、つけ台(カウンター)で食事したこともあり、気さくな大将との会話もとても楽しく、素敵な時間を過ごすことができました。
以下、会話が進んだ時のやり取り・・・
私「それにしても、大洗の魚は美味しいですね」
大将「そんなこと言って、本当は福岡の方が旨いと思ってんだろ?(笑)」
私「いやいや(笑) それぞれに、良さがありますから・・・」
こんな感じで、容赦ないツッコミを入れてくださったりと、本当に気さくな大将でした(笑)
そんなわけで、初入店にして、すっかりちゅう心さんの虜になった私は以来、何度もこの店に訪れるようになったのでした。
そのときのお話はまた別の機会に。
【店舗情報】
店名: ちゅう心
ジャンル: 魚介料理・海鮮料理、寿司、あんこう
TEL:029-267-5134
住所 :茨城県東茨城郡大洗町磯浜町987
営業時間:11:30~14:00、17:30~22:00(L.O.21:30)
定休日 :火曜・月1回水曜不定休
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(註1)すしを漢字で表記するとき、私は「寿司」よりも「鮨」を用いることにしています。なんといっても、「魚」に「旨」いと書いたほうが、旨そうですし、すしの本質を表しているような気がします。なお、「鮨」は中国では本来、魚の塩辛を意味する文字なのだそうです。また、「寿司」は縁起を担いだすしの当て字とのこと。
(註2)この時、一緒に食事をした方は、第一回目の訪問時にヴィンテージ・クラブ むらいさん(大洗にある酒屋&カフェ・バー)で偶然、知り合った方。
その場ですっかり意気投合し、お別れした後も、SNSで時折交流していたのですが、数ヵ月後、ちゅう心さんでの食事にお誘いしたところ、平日夜にもかかわらず駆けつけてくださいました。
大洗ではこういう交流が実に楽しいもので、偶然お会いした方と後日、また大洗で御一緒に食事をする・・・なんてことが自然に起きる町なのです。
(註3)ところで、今回、会席と鮨を註文したことによって、鮨を食べたあとに御飯が出てくるという若干マヌケなことになってしまいました。無論、お店のせいではございません。なお、お店に「会席のあとに鮨を食べたいので、会席の御飯は抜きにして欲しい」旨を伝えると、対応してくださいますので御安心を。